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第十三話 雛の正体①

last update Terakhir Diperbarui: 2025-07-02 17:31:01

 次の日から、さっそく訓練が始まった。

 持久力、筋力、素早さを上げるトレーニングと共に、実践形式で二人一組になり試合を展開していく。

 それを六人がローテーションで回っていくという仕組みだ。

 全員が一度は手合わせできるようになっていた。

 雛、神威、宇随は最強トリオの名のもとに、好成績を残していく。

 もちろん宇随は、雛と神威以外には負けなかった。

 しかし、どうしても二人には敵わない。

 そんな中、注目されたのは雛と神威の勝負だった。

 これには伊藤も驚きを隠せず、食い入るように二人の試合を見物する。

 雛と神威は一歩も引かず、人知を超えた試合を繰り広げていた。

 目に留まらぬ速さで二人はぶつかり合う。激しくぶつかる音だけが辺りに響き渡っていた。

 誰も二人の姿を追っていける者などいない。

「あいつら、バケモンかよ」

 宇随の目を持ってしても、二人のわずかな軌道しか見えなかった。

 悔しそうに唇を噛みつつ、宇随は眩しそうに二人を見つめる。

 他の隊員たちは何も言えず、ただ呆然と突っ立て二人の試合を見守るしかない。

 彼らの目にはもう、何も映っていないのだ。

 そんな中、伊藤は静かに二人の試合を見届けようと懸命に二人の軌道を追っていた。

「これほどとは……」

 満足そうに頷き、伊藤は口の端を持ち上げ嬉しそうに微笑んだ。

 雛と神威の激闘は、いつ終わるのか先が読めない。

 二人の集中力は素晴らしく、いつまでも続くような予感をさせていた。

 皆は二人を放っておき、それぞれの修行に集中することにした。

「そこまで、やめ!」

 伊藤が皆に向かって叫んだ。

 全員、戦いを中断し、伊藤のもとへ集まる。

「これから、この隊の副隊長とリーダーを発表する」

 突然の発表に、皆は驚き顔を見合わせる。

「副隊長には私の補佐をしてもらう。これから隊をまとめていく重要な役割だ。

 ――中村神
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